突然ハマって、ほとんど全部読んでしまった「乗り移り人生相談」。週末に三省堂本店でトーク会があったので、サインまでいただいた。
「人生相談」というジャンルは人によって好き嫌いがあるだろうけど、たとえば好きなのは、第四回「人生は冥土までの暇つぶし、だからこそ極上の暇つぶしが必要なんだ」。
これは、「人生なんて、どうせ暇つぶしだからさ」という意味ではないんだよね。気になった方は読んでみてほしいけど。
はちゃめちゃな天台宗僧侶、国会議員、作家の今東光(こんとうこう)氏の言葉もいい。
「人生は誰と出会えたか、その積み重ねでしかないんだよ」という言葉もよく聞いた。この人の言葉をもっと聞きたい。その考えをもっと深く知りたい。そう思える人とどれだけ出遭えるかが大事だと思うな。
(第四回「人生は人生は冥土までの暇つぶし、だからこそ極上の暇つぶしが必要なんだ」)
「人生は誰と出会えたか、その積み重ねでしかないんだよ」というのは、言い換えると、こういう意味だと思う。広い意味で、「この人とは縁があった(=有縁)」と言えるような、家族や、親友や、恋人や、仕事上の多くの人との(ライバルを含め)関係性こそが、あなたの人生そのもの。人生は、もちろん、「いくらカネを稼いだか」だけではない。
今東光大僧正は「有縁(うえん)」ということをよくおっしゃっていた。会えなくなって後悔する相手というのは、偶然巡り合ったのではなく、縁あって巡り合ったものだ。だから、その関係は大切にしなければいけない。
(第69回「酒を持って仲たがいした友の墓を訪ねなさい」)
著者の島地勝彦氏は、柴田錬三郎、開高健など有名な作家に可愛がられ、えこひいきされ、ひと昔前の企業人として、出世と成功を収めた人。だから、いろいろな話を「自慢話」と受け取る人もいるかもしれない。私は気にしなかったけど。「人生相談」というジャンルを人に勧めるのは難しいけど、銀座のハナコの話で一週終わったりと、はっきり言って、あまり真面目な「人生相談」でもないし、興味を持った方はどうぞ。
『乗り移り人生相談』
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20100520/92079/