///『夢と狂気の王国』、ジブリに入り込んだみたい

『夢と狂気の王国』、ジブリに入り込んだみたい



スタジオジブリを撮影した、『夢と狂気の王国』 を観てきました。
『風立ちぬ』制作中のジブリを、『エンディングノート』の女性監督が撮ったもの。

以前、感想にも書いた、NHKの『仕事ハッケン伝』で、鈴木プロデューサーの「人と一緒に仕事をするということ」、あれが私の胸に刺さったので、「ジブリでの鈴木さんの仕事術が見たいな~」と、軽い気持ち出かけました。

ドキュメンタリーなので退屈かもと思っていたんですが、全然そんなことなかったです!
自分自身がスタジオジブリに入り込んだみたいで、見るものすべて目が釘づけ。

上の写真は、映画を観た六本木で。
同じ日に、ひとりミネ……ショー(咳払い)だったので、毛利庭園のベンチで戦利品を撮りました。
怖いほどに空の澄みきった、秋晴れの一日でした。

以下、『夢と狂気の王国』から、私が個人的に面白かった言葉をメモしておきます。
(全部記憶からの書き起こしなので間違い多々あります(>_<))

鈴木さん仕事術

「会議のとき、どの人間が加わるとその場の空気がどう変わるか、人と人との相乗作用まで全部計算に入れている人」

日テレの新入社員研修で、なぜジブリ作品は日テレで放映されているのかという話をして、
「人と人との縁、というものが確かにある。そして、縁のある人に巡り会うことができた人だけが、好きなことをやって生きていくことができる。(人との出会いに)心を開いておかなくちゃいけない」
(ものすごくうろ覚えです……結構いいこと言ってたんですが)

宮崎駿監督とのミーティング、地方回りや記者会見の舞台裏、宮崎吾郎さんのピリピリした会話に頭を抱えたり(怖かったですよあれ)、庵野さんに車の中からオファーの電話を入れる場面など、カメラがぴったり寄り添って、ぜーーーんぶ撮影してくれています。

こういう立場の人の仕事を、一部始終見ることができる機会はないと思うので、それだけでも貴重でした。

庵野さんと、『風立ちぬ』のラストシーン

庵野さんが声の候補に上がるときの映像が、ちゃんと残っていて。
宮崎監督「もう役者は、いやなんだよね」と、辛らつ。
そして、「庵野か……」「庵野ねえ」「庵野がやったらどうなるんだろう」「ねえ! 庵野がやったらどうなるんだろうね!?」みたいに、テンションが上がっていくのが(笑)。

映画のラストシーンに庵野さんが声を入れるところで、宮崎監督、ちょっと泣いていた気がします。(私もな! 『風立ちぬ』本編では一度も涙が出なかったのに……)
すべての声を撮り終わって、車の中で庵野さんと鈴木さんが喋っているシーンが、不思議な感慨に包まれていて、とても良かったです。

ちなみに、庵野さんが喋っていると、「あれ? 二郎がいる」「二郎が喋ってる」って思ってしまう自分が不思議(笑)。だって、あの声、庵野さんの「地」なんだもの!

あと、『風立ちぬ』のラストシーンは、菜穂子のセリフが真逆だったんですね。
庵野さんが、「変更になって、本当に良かった」と言ってましたが、あのままだったらホラーでした。
ネタバレするのでこれ以上書きませんが……。

写真は記事とは無関係です♪
エクストラ・ラピスは二冊目ですが、
標本のレベルがむっちゃくちゃ高いの!

怖いこといろいろ

「狂気の」というだけあって、「大勢で力を合わせて映画を作りました、めでたし、めでたし」というドキュメンタリーではありません(それもあるけど)

スタジオジブリは、宮﨑駿と高畑勲二人の「狂気」でできている会社なのかなあ、と思いました。

『風立ちぬ』で、「やめておけ、同期はライバルになるぞ」と言われた二郎が、それでも本庄と一緒に仕事をしていたら。一緒に会社を設立していたら、それが今のジブリなんじゃないか? という感想をどこかで読みましたが、うーーーん!と唸ってしまいました。

人とのつきあいは、歳月とともにどうしても変化してしまいますよ、普通。
ジブリは、鈴木さんがいることで、ずいぶん救われてるなあ、と思いました。

宮崎監督は、自分がいなくなったらジブリは「やっていけなくなる」と、ハッキリ言ってますね。

ジブリには終身雇用という概念はなく、社内に貼ってある「辞めてもらいたい社員」の箇条書きも、とても直裁的でした。「言われないと動けない人間」とか、書いてあるんですが。

宮崎監督は、こと作品に関しては、スタッフから「惜しみなく奪っていく人」のように、私には見えました。
どんなに絵が上手くても辞める人はいる、自分の何かを犠牲にしてもこの時間で得たいものがある人だけが残っていく、「自分のささやかなものを守りたい」と思っている人は、ジブリには向いていない、という社員の方のインタビューが印象的でした。

もっと怖いこといろいろ

「この人たち怖いこと言ってるな」、と、私が思ったのは、次のような箇所です。

「理系の人間というのは、その時代の機械文明の片棒を担ぐわけですから、それはやっぱり、「呪われた夢」なんですよ」。 映画の制作も、「美しいけど呪われた夢」と表現していました。

「2010年末から空がどんどん綺麗になってきて、何か起るんじゃないかと。3.11が来たとき、こういうふうに来るのかと。今も空は綺麗ですよ。まだ全然終わっていない」

宮崎監督と鈴木プロデューサーが小声で、
「最近、締めつけがどんどん厳しくなってるんですよ。NHKとか……民法も全部そうなんです。先回りして、あれをやっちゃいけない、このことに触れちゃいけないって。今、好きなように作れるのは宮さんくらいですよ」

日テレで新入社員研修しているような人たちが、その口で喋っている映像が残っているんですから、まあ、そうなんだろうなと。

秘密保護法に反対したジャーナリストたちも、記者会見(リンク先は文字起こし)で、同じようなことを言ってましたし。 (「「私たちが所属している組織全体が、実は、もっとこれよりも危ない攻撃を今の政権からされている」という様な事をおっしゃってですね。そこの人達は、とても怯えていました……」)

でも、私は、本当に怯えているのは、こういう法案を作っている人たちだろうと思います。
彼らは権力の源泉、パワーの源が、国民のひとりひとりにあることを、よく知っているんでしょうね。

お忙しいところありがとうございました。
一応、私は「こういうのが欲しい」というリクエストを、
だいぶ以前から伝えていたので……。
その他の好みも把握されてますしw

脱線しますが、だから私は、誰かが、こんなふうに言ってあげなくちゃいけないと思う……。

そんなに私たちを怖がらないで。同じ国に暮らしてるんですから、力を合わせて一緒に盛り立てて行きましょう。そのためには条件があるんです。本当に制限が必要な情報以外は、そして、そういう情報であっても、時が経てば、すべての情報を公開してください。あなたがた(政府)は、私たちの分身なんですよ。歴史の針は逆には回りません。21世紀の新しい、透明性の高いやり方を、知恵を出し合って探していきましょう」

?年後に価値が出る映像

他にも、細かい「おっ」というシーンが多くて、書ききれません!

ゼロ戦を描きたくて描けない葛藤「カッコ良くなんて描きたくない、と思うんですよ。同時に、でもカッコ良かったんだ、っていう思いもあって」。

若い頃の宮崎監督の映像が何度も差し挟まれていますが、「いや~~人間って、枯れるんだな」と思いました。枯れる、というのは、才能じゃないですよ。自我が枯れるんです。五十代の頃は、顔にすごく「宮﨑駿」って書いてあるのが、最近は髪もひげも純白で、どんどん雰囲気がジブリの屋上に広がる澄んだ空に近づいていらっしゃるような……。

「自分が幸せになるために生きている、って……変じゃない? あなたはそう思ってる? 自分が幸せになるために生きてるって?」「うーーん」

七十歳を過ぎたら、これくらいの境地が、普通なんじゃないでしょうか。
政治家などの権力者で、七十代でも欲望で顔がギラギラしてる人もいますけど。

あと十年とか十五年経って、宮崎さんも、鈴木さんも、猫のウシ子も亡くなって、ジブリも消えて(!)、そのときに、この映像を見返したら、さぞかし感慨深いだろうなと思いました。
こういう会社が、21世紀の初めに存在していたんだな、って。

万人にはオススメできませんが、ジブリのファンは見ても損ではないと思います。
「締めつけ」うんぬんのシーンだけでなく、社内に「脱原発」手書きイラストがやたら貼ってあって、沢山映っているし、まあ、地上波で放映される見込みは、ゼロです(笑)。

今回は、モンブランのコーヒーブラウン、
少し大きめのものを頂きました。
姿もよく、どこか神々しい趣があります。
ずっと欲しかった理想的な品で、嬉しいです!
あと、蛍石も見せてもらいましたが、
すごいのがありました。(お値段もすごいですが)
ああいうのを手に入れる方は、個人のものっていうより
地球のものなので! 大事に保管して、次の世代に
引き継いでいただきたいものでございます(笑)。

中国の三色「ぶち」のは、迷ったんですけどとても手が届かず……。
池袋ショーでは海外出展社を回ります! 楽しみ☆

ここまで読んでくれた方、いるのかな? ありがとうございました! ランキングですー♪
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