///SHERLOCK考察感想2(引き続き、兄弟推し)
Mycroft quotes(season3,4)

SHERLOCK考察感想2(引き続き、兄弟推し)

『SHERLOCK』総論感想2です!! 引き続き兄弟推しです。

もくじ

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この画像の下から全力でネタばれてますので、万が一未視聴の方はくれぐれもご注意ください。

Mycroft quotes(season3,4)
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シーズン3,4のまとめ

シーズン1,2のテーマだったシャーロックの成長がある程度達成されて、次の展開に移るシーズン。

シャーロックはなぜ成長したのか? ですが、ジョンという親友ができただけではなく、ブログ探偵として有名人になって大物の依頼も舞い込み、と思ったら、宿敵モリアーティによって名声をはく奪されてどん底、さらに異国の地で二年間の過酷な「スパイ大作戦」……これで成長しなきゃ、そのほうがおかしいわ。

3-1で2-3のクリフハンガーを回収した後、3-2または3-3『最後の誓い』から4-2『臥せる探偵』までの話が、ひとつながりになっていると思います。

シャーロックが成長して、ジョンにとって、いい人になろうと決心し……失敗する話です。

シャーロックは、メアリーを守るために、マグヌセンを射殺さえする(3-3)。サイコパスがいい人になろうとすると、かえって破壊的なことが起こるかもしれない例ですよね。
そして、「ジョンとメアリーを絶対に守る」と誓ったものの、最後はメアリーを死なせてしまう。個人的には、(あのシャーロックがこんな誓いを?)と微妙な違和感があったのですが、今振り返るとあれは死亡フラグ以外の何者でもなかったなぁ……。そしてあの二年間と同じ反復。ジョンを救いようもなく傷つけて、それをどうにかして癒す、という。

つまり、4-3はいきなり新しい章に入ったような話だと思います。シリーズ全体の中で見たとき、どうしても「浮いた」感じがしてしまうのはそのせいかと。ホームズ家の三人目の子どもがポッと出て、たった一話で終わってしまうなんて。これは次の感想で書きたいと思います!

ラスボスたち

シーズン2までのラスボスはモリアーティ。
シーズン3は恐喝王マグヌセン。
シーズン4はホームズ家の三番目の子ども、ユーラス。

3-1から、ガイ・フォークス人形にジョンを入れて焼き殺そうとしていたのはマグヌセンでした。マグヌセンはモリアーティより常識的な犯罪者なので(?)、マイクロフトの持つ情報を狙ってました。マイクロフトの弱点がシャーロック、シャーロックの弱点がジョン、ジョンの弱点がメアリーだったので、遠回しに圧力をかけてきたわけです。

国中のテレビにモリアーティの映像を流したのは、シーズン4のラスボス、ユーラス。ジョンのセラピストになりすまし、依頼人としてシャーロックを訪れ、ジョンを救わせるよう仕向けたのもユーラス。さらに、同じバスに乗り合わせてジョンを誘惑まで。常時監視の島で軟禁されているのに、なぜそんなことが可能かというと、島の責任者が彼女に操られているので、脱出し放題だったと(ひぇ~~ザルの警備体制!!) 一体何がしたかったんだ彼女!? というのは後で考察。

コナン・ドイル原作との対比

シーズン4は「面白かったけど、原作とはずいぶんかけ離れてきたな……」と思ったんです。でも、この総論感想を書くために調べていたら、そうでもないのかな、と思うようになりました。4-3はともかく。『SHERLOCK』の制作陣は原作を読み込み尽くしているはずだし。

まず、メアリーの死は原作でもある程度定説になっているらしいこと。

それから、全体的に「007のようなスパイもの」になってきている、という点は、確かにそうなんだけど、原作のホームズも時系列的に最後の作品、『最後の挨拶』では完全に諜報員の仕事をしている。イギリス人で、こういう能力に秀でていると、スパイになる運命なのかもしれないとさえ思ってしまいました(笑)。

ユーラスの名前の由来も、『最後の挨拶』のラストに登場。
 「東風になるね、ワトスン君」
 「そんなことはなかろう。ひどく暖かいもの」
 「相かわらずだねえ、ワトスン君は。時代は移ってゆくけれど、君はいつまでも同じだ。とはいうものの、東の風はくるのだ。いままでイギリスに吹いたことのない風がね。冷たく激しい風だと思うから、そのため生命をおとす人も多いだろう。」(延原謙訳)
ヨーロッパが戦争に飲み込まれることを言ってるんですね。

ただ、正直ユーラスというキャラクターの造形には、ちょっと言いたいことがある。
ありきたりとまでは言わないけど。白けるところがあるのは確かです。どこが「歴史を変える天才」? 本当にそうなら、新しい数学や物理学の理論でもさくっと発明して、人類の科学を200年ばかり加速させて下さいよ……羊たちのレクター博士といい、どうしてそんなに犯罪ばかり起こすの?? 善悪の違いが分からないというけど、本当に頭が良ければ、自分が拘束されないように行動できるはずじゃないだろうか。

兄弟関係!!!

兄弟関係にフォーカスしてみると、見所ありまくり!!!

兄弟が対等になるシーズン3!

2年という歳月が経って、二人の力関係が対等になりました。冒頭から「絶対、楽しんでた」って不満げなシャーロック(笑)。

3-1の途中、毛糸の帽子の推理合戦、日本語訳と英語、一瞬の表情を追って、3~4回見てしまいました。含みのある会話です。

この場面のシャーロックは、マイクロフトのオフィスで着替えていたときとは違います。あのときはロンドンに戻ったばかりで、自信満々だった。ジョンとはすぐ相棒に戻れると。レストランのシーンなど、シャーロックの他人の気持ちが分からないところがよく出ています。
でも、ジョンの怒りはシャーロックの想像よりはるかに激しかった。もう相棒に戻ることはないかもしれない、友だちを失ったかもしれない、という危惧の中での兄との会話です。これまでレアキャラだったマイクロフトがかなり長くシャーロックに付き合ってくれるのも珍しいですね。

「あんたには友だちはいないのか? これまで一人も?(And you don’t? Ever?)」というのは、ジョンの不在によってシャーロックがある感情を味わったからこそ出てきた質問です。
つまり、シャーロックは、後の会話に出てくるように「寂しさ」を味わっている。それはジョンという友だちが「いて」、今は「いない」、あるいは「失った(かもしれない)」と思っているからこそ、味わう感情です。最初から友だちがいなかったら、「寂しい」かどうかも分からないんですから。

むしろ、2年間の間は、離れていてもジョンはいつまでも友だちだから、なんて楽天的に思っていたんじゃない?(笑) 自分がどれだけジョンを傷つけたか分かっていなかったんですよね。ロンドンに戻って、ジョンの怒りを突きつけられて、ようやく理解した。

だけど、兄に面と向って「僕は今、寂しいんだ」と打ち明けるなんて、シャーロックのプライドが死んでも許さない(笑)。だから、遠回しに「二年間、僕がいなくて、あんたはどうだったのか」と聞いている。兄にとって唯一友だちと呼べるような存在は自分だけだ、ということを知っていて。兄も同じような感情を味わったことがあるんだろうか? と、思ったのかもしれません。
それに対して、マイクロフトは「話題を変えろ、今すぐ」と言うんだけど、次の推理合戦でもシャーロックは実は話題を変えていない(笑)。

ハドソンさんがやってきて、この分かりにくい会話の中で、唯一の正解を教えてくれます。

He’s secretly pleased to see you underneath all that.
(シャーロックがこうしているのを見て、本当は喜んでいるのよ。)

「どっちが?」と聞かれると「どっちもよ!(Both of you.)」。そう、これは、正解。二年間寂しかったかどうかはともかく、マイクロフトは喜んでいる。だからこそ、仕事があると言いながらも弟との会話を楽しんでいるし、シャーロックもまた、兄をやり込めることを楽しんでいる(笑)。

「人と違うのを気にしないからといって、引きこもりとは限らない」というのは、マイクロフトが自分自身のことを言っている(言わされた)わけです。ハドソンさんがハッとした表情でこちらを見ている。兄には「気にするような他人」はいない。シャーロックにとってのジョンのような人がいないから。それに気づいた兄は、しばしの沈黙ののち「……私は寂しくないぞ(I’m not lonely, Sherlock.)」とくぎを刺す。それに対して、弟が「なぜ分かる?(今まで一人も友だちがいなかったのに、なぜ寂しくないと分かるんだ?)(How do you know?)」とやり込めるのは、2-1のセックスについて会話の仕返しですね。

でも、血相を変えた「話題を変えろ」といい、マイクロフトも痛いところを突かれたんだろうな。立ち去るときの「失礼する(Back to work, if you don’t mind. Good morning.)」という丁寧な言い方、何だか笑ってしまうんですけど。

3-2では、シャーロックはマインドパレスの中に登場する兄に向って、「あんたじゃない! ジョンが僕を正しい方向に導く」と言っています。これもシャーロックの成長ですね。

3-3ではジョンが結婚したことにイライラして、じゃなくてマグヌセンを騙すために薬をやってハイになり、兄の腕をひねり上げてました。マグヌセンは全く騙されてなかったけど。兄弟の体が触れるのってここだけでは。シャーロックの薬物乱用の過去が少し明かされます。

3-4『忌まわしき花嫁』はまた、すごーーく兄弟愛な回で……。主に兄→弟ですが。どこまでが現実なのかちょっと分からないところもありますが、飛行機にマイクロフト、ジョン、メアリーが乗り込んでくるところは現実でいいんですよね? また薬物をやっているシャーロックに落胆する兄、「どんなときも味方だ」って。そして興味深いのは、ジョンを急に「ワトソン先生(Dr.Watson)」と呼び、あらたまって「弟を……頼みます」と言うところ。pleaseって。ジョンのことなんか金魚と思っていたはずなのに、ずっと優位に立っていたのに、自分ではシャーロックを救えない、と気づいたんだろうな、と思って胸が痛いです。

シャーロックが自己破壊的なことをしても、家族であるマイクロフトは、最後にはすべてを許してしまう。そういう意味ではダメなものはダメと言ってくれる別の人間が必要なのかもしれない。モリーも思いきりひっぱたいてくれたっけ。

マイクロフトの肩を押しのけてシャーロックが出ていくときの兄の表情といったら(涙)。それなのに、弟「こんなところで何してる? 早く僕の恩赦を決めてこいよ、兄貴(big brother)だろ」とか、人遣い荒すぎるし(笑)。確かにそんな工作は朝飯前なお兄さんではあるけど。シャーロックも、兄に愛されていることはよく分かっているとは思うけど。

墓を掘り返しているシーンはマインドパレスの中なのかな? 皮手袋のマイクロフトが、力仕事なんか冗談じゃない、と傘をついて墓穴の上に立ち、ジョンの代わりに駆り出されたレストラードがシャツまくって泥まみれで働く対比が面白かったです。レストラード、いいやつだー! 3-2で手柄を放って221bに駆けつける健気さとか、3-1でシャーロックを無言でぎゅうーーーっと抱きしめるところとか、ほんといいやつーーー!!

兄を気遣えるようになるシーズン4!

4-2、シャーロックが聞いているわけではないけど、ハドソンさんとのやりとりで、マイクロフトが「そんなに賢くない」ということが明らかになります。4-3でも、シャーロックが「あんたがそう賢いとは思えなくなってきた」と言っている。
そう、そうだよシャーロック、兄には兄の限界があるんだ。なぜもっと早く気づかなかったの……。

そして、最後の最後で、ついにシャーロックがマイクロフトをはっきりと気遣うことができるようになります! 兄のことを「自分で思ってるほど強い人じゃない」と表現し、レストラードに「気を付けてやってくれ」と頼む。妹のことを隠してきたことで激昂する母親に向かって「兄はベストを尽くした」とも言ってます。兄を等身大の人間と見て、対等に、余裕を持って接することができるようになった。あーー何たる成長!!!

Um… Mycroft, make sure he’s looked after.
He’s not as strong as he thinks he is.
(マイクロフトのことよろしく頼む。やわなのに自覚ないから)

4-3の忍耐爆弾を囲んで三人でする会話も好きです~~~。Good luck boys!

4-2はかなりキツい回なんだけど、とてもエモーショナル。シーズン4の中でいちばん好きなシーンは、ジョンだけに死んだメアリーが見えていることを、シャーロックが悟った瞬間です。
ジョンの顔を見て、彼が凝視している何もない空間をそっと横目で見て、もう一度ジョンを見て(ああ、そうだったのか……)という顔をするところ。ここ、涙が出ちゃった。

レストラードも最後にグレッグって名前を覚えてもらって(感涙)。シーズン4までかけてやっと!! モリーなんて最初から覚えてもらってたのに。最後に「彼は善良な男だ(He’s a good man)」とシャーロックを評して、シーズン1からの主題を締めることも忘れてません。YouTubeのコメでレストラードのこと、”looks like a cinnamon roll and is actually a cinnamon roll” って書かれていて、よく分からないながらも笑いました。

全知の登場人物が説明する

マイクロフトの「全知」

4-3を見終わった直後、頭に浮かんだ単語はこれ、「全知」。

シャーロックが、あんなにスマートで賢いのに、ずーーーっと妹と赤ひげの記憶を失っていたのかと思うと、何とも言えない複雑な気持ちになって。それはつまり、マイクロフトがずーーーっと嘘をつき続けてきたということで。弟は弟でかわいそうだし、兄は孤独すぎるし、前回の感想で書いたけど、呆然とした気持ちになります。こういうの、すべて後付けの感情ですが。

シリーズの話が進んだとき、「全知の登場人物が現れて、これまでの出来事を説明する」って、しばしばある展開ですよね。伏線がきちんと回収される、ある意味で近代的な物語。

マイクロフトを演じているマーク・ゲイティスさんは、俳優だけど脚本家でもあり、そもそも『SHERLOCK』の共同制作者。だから、このシリーズのまさに「全知」の一人なわけだよね!

ところで、原作の『ブルース・パティントン設計書』を読んだら、なんとシャーロック自身が兄のことを「彼の専門は、全知だ」と言っていたので、ちょっとびっくりしました。別に驚くことでもないけど。『SHERLOCK』の制作陣は原作は読み込んでるはず、って分かっていたけど。

「ほかのものもすべて専門家ばかりだが、兄の専門は全知というところにある。」
All other men are specialists, but his specialism is omniscience.

原作のマイクロフトの頭の中は、さまざまな国家の部局の情報を集めた、中央交換局みたいなことになっており、すべての情報を統合して考え、即座にそれぞれの関連を指摘したりすることができるそうで、それがあまりに便利なので、政府の中で「余人をもって代えがたい地位」を占めることになった、そうです。
シャーロックがAGRAのことでマイクロフトを「人間ウィキペディアか?」(3-2)と揶揄ったことがありましたが、本当にそうだったんですねー。

ただ、マイクロフトはシャーロックの内面、とくに感情的な側面に関してはよく分かってないんですよね。そこは、全然「全知」じゃない(笑)。

メアリーとハドソンさんのほうが、シャーロックとジョンについて、いや、人間というものについて普通に理解しているのが面白いです。メアリー、初登場の3-1を見返すと、本当にチャーミングないい人で、最初から「シャーロックの本質をよく分かってる」感がすごかった……あああ、悲しい。

ハドソンさんとマイクロフト

シャーロックの理解者であり、支援者として対照的なこの二人、ハドソンさんは結構マイクロフトと「張り合って」いる気がして面白いです。

2-1だったかな? 今でもちょっとよく分からないのは、

ハドソンさん「最後に頼れるのは家族だけなのよ、マイクロフト(Family is all we have in the end, Mycroft Holmes!)」
マイクロフト「あなたは黙っててください(Oh, Shut up, Mrs. Hadson)」

の後、その場の全員が驚いてマイクロフトを見つめ、「Mycroft!」「Hey!」と一斉に声を上げる。
そして、みんなの非難の視線を受け止めた兄は、ややのち、

マイクロフト「……失礼した(Apologies.)」

と、謝るんだけど、これはやっぱり、ハドソンさんのような年上の女性に対して、マイクロフトみたいな人間が「シャラップ」という言葉遣いはしちゃいけないってことですかね? 日本語訳だと「黙っててください」でそこまでおかしくないんだけど。

で、そういうこともあったので、シリーズで二人がいちばんやり合う4-2では、マイクロフトはどこまでも丁寧な口調で通しています(笑)。

メアリーが亡くなって、ジョンがシャーロックを拒絶し、シャーロックは薬で死にかけていて(モリーがこのペースならあと数週間の命と判定)、マイクロフトは今度はファンクラブの皆さんなどには頼らず、プロのスパイたち(Spooks)を引き連れて221bの家探しをしてます。「キッチンを見たか、覚せい剤の製造所だぞ」「弟は人格崩壊の危機にある」。すると、ハドソンさんが帰ってきて、マイクロフトのことを声高らかに笑い出す。まあ、考えてみればかなり間の抜けた発言なんですよね、「弟がなぜああなったか調べに来た」ってwww

「あなたって面白いわね。あなたを賢いとか、かわいそうなシャーロック。いつもそう言ってた。あなたがどんなにバカか分かってなかったのよ」。

と、気持ちよく言い放ってくれて。これに対して、渋い顔をしながらもあくまで紳士的に「それはただの悪口ですか、それとも根拠のある発言ですか」「私は弟の思考過程を誰よりもよく知っている」と応戦するマイクロフトですが、その後すぐ、ご存知のとおり、ハドソンさんに完敗します。アハハハハハ。「私の家から出ていって。この爬虫類(Get out my house. You reptile.)」という渾身の一撃でやり込められてました。だけど、圧倒的な国家権力を使わずに黙って出ていくんだから、やっぱり紳士的じゃないですか?

そして、4-3でも冒頭でもハドソンさんはお茶を淹れてくれないし……でも、忍耐爆弾から「ハドソンさんを頼む」と言われたのはマイクロフトなので、どうにか階下に行って彼女を連れ出したんでしょう。このシーンちょっと見たかったな、ふふふ。

「次のシーズンがあったら」という感想に続きます!
シーズン5があったら兄も成長させて! っていう話。

各エピソード謎解き

自分なりの謎解きです。間違っていて後で修正するかもしれません。面倒なのは書いてません。

3-1 The Empty Hearse(『空(から)の霊柩車』)

毛糸の帽子の持ち主は?

地下鉄の監視カメラ係員。帽子のぼんぼんを噛んでいるシーンもある。

マイクロフトは彼を「isolated(引きこもり、人と交わらない)」とは推理しなかったが、後でこの係員が「僕の彼女はシャーロックさんのファンで……」と言っていて、これが本当なら兄の勝ち!? 鉄道オタクだって、彼女がいる人いっぱいいるはず。シャーロックはバカにしたように鼻を鳴らしてるけど、失礼なやつだ(笑)。

3-3 His Last Vow(『最後の誓い』)

シャーロックの目的は?

マグヌセンに恐喝されているメアリーを守ること。恐喝の脅威を取り除くこと。
そのために、兄のノートパソコンを持ち出し、マグヌセンの邸宅に取引に行った。アップルドアがマグヌセンの頭の中にしかない、と告白されたとき、一瞬目を閉じたのは、彼を殺すしか目的を果たす手段がないと分かったから。

そして、実際に目的を果たすためなら殺人も躊躇しない。「僕はヒーローじゃない、高機能社会病質者だ!」は正しい。この点、マイクロフトのほうがずっと倫理観があるので、兄は弟の行動に呆然としている(結局はもみ消してくれるが……)。
ちなみに、1-1でジョンがシャーロックを守るためにためらわず犯人を射殺しているので、そのお返しという見方もできる。

マグヌセンの目的は?

「私を別にすれば、マイクロフトがもっとも力がある」と言っているので、目的はマイクロフト。圧力点を押さえれば彼に貸しを作ることができる、あるいは、単に彼が持つ情報をアップルドアに加えたかったのかもしれない。兄の顔をビタンビタンしたかったのかもしれない(ひぇ~~~)。
考えてみれば、「アップルドア」も、「全知」の概念に近いですよね。
だけど、マイクロフトこそ全ての情報は頭の中の保管庫に入れてそうだなぁ。

とにかく、マイクロフトの圧力点を探していて、シャーロック→ジョン→メアリーとたどり着いた。3-1でジョンを焼き殺そうとしたのは、シャーロックにとってジョンがどれくらい大事か見極めるため。その場にスタッフも待機していて、ジョンが本当に死なないように見張ってくれていたそうです(笑)。

マイクロフトの目的は?

一方のマイクロフトも、マグヌセンを「ビジネスマンだ。必要になるときもある」と評しながら、その力を削ぐ機会を狙っていた。シャーロックに盗ませたノートパソコンにはGPSが入っていて、国家反逆罪でマグヌセンの自宅を家宅捜索するつもりだった。

もっとも、実在のアップルドアは見つからないので、逮捕まではできなかったと思われる……が、そこで、弟が突然凶行に及ぶ!

マイクロフトはこの前に、シャーロックに「なぜ、マグヌセンを憎む?」といぶかしがっている。弟がヒーローになろうとしている理由が分からなかったので。メアリーのことを知らないから。って、ん?? 知らないんだっけ???

それにしても、シャーロックはなぜ兄のパスワードを知っていたのか。というか、本当に「自由主義社会の平和がかかっている」コンピュータだったら、指紋や虹彩、生体認証くらい必須な気がするけど(笑)。

マイクロフトはメアリーの素性にいつ気付いた?

今、思ったけど、これいつなんだろう?

ジョンと付き合い始めたときに、マイクロフトの性格なら彼女の素性も調べ上げているはずなんだけど、そのとき元CIAだって気付かなかったんだろうか。あのときはシャーロックも国外にいたからジョンにはあまり注意を払っていなくて、調査した部下が間抜けで、かつ、メアリーがスゴ腕で過去の隠蔽が完璧だったってことだろうか。

あと、シャーロックはメアリーの聡明さ(スキップコードに気づくなど)を目の当たりにしていたけど、兄は直接的には接点がなかったから、気づくのが遅れたのかな?

レディ・スモールウッドの恐喝の件はどうなった?

恐喝されたレディの夫は自殺している。クリスマスの日の新聞記事にチラッと出てくる。これでレディの圧力点は無くなったわけ。
これ、レディが命令して手を下した可能性もあると思うけど。こんな立場の女性は、それくらい非情なことができるんじゃないかと(ちなみに、マイクロフトたちの同僚には、007の上司「M」もいることが分かるようなセリフがある)。

3-1 The Six Thatchers(『六つのサッチャー』)

マイクロフトのコードネームは?

南極(Antarctica)……でいいんですよね? 氷の男らしいし。4-3を見るとそうでもないけど。

“Only those within this room, codenames Antarctica, Langdale, Porlock and Love, will ever know the whole truth.”
(真実を知るのはコードネーム、南極、ラングデール、ポーロック、ラブ。つまり今ここにいるもののみ)

ラングデールとポーロックは原作由来の名前だそうです。4-1でレディ・スモールウッドの隣にいる男はどっちなんだろう? 4-3で「爆発があってマイクロフトは入院中だ」と車の中で電話を受けている人は、髭が生えてるけど、同じ人?
首相にも知らせない、とは、なかなか「影の政府」感ありますね(笑)。

3-2 The Lying Detective(『臥せる探偵』)

シャーロックの目的は?

この回全体の計画は、「シャーロックが意図的に窮地に陥り、それをジョンが救うことで、逆にジョンを救う(つまり、メアリーを喪ったジョンは自分の悲しみや辛さについて他人には絶対助けを求めないけど、シャーロックが死にかければ必ず助ける、そして、シャーロックを救うことによってジョン自身の回復をはかることができる)」。
シャーロックが錯乱して推理が急に冴えなくなった、とか、思わないでくださいね。すべて計画のうちの行動。

最後にジョンが杖を餞別に別れを言いに来る、というところまで、全部お見通しなんですから(自分でも自分のことを「ゲス野郎」と言っている)。しかし、こういう自分を痛めつけることを本当に淡々と実行できるのだから、シャーロックはクレイジーで、確かにゲス野郎である。あんたね~~~お兄さんがどんなに心配するか!!!

つまり、カルヴァ―トン・スミスは、ジョン回復の舞台のためのダシにされたと言えなくもない。

マイクロフト以外の「全知」メアリーの本領発揮。ただ、ジョンは「僕はメアリーが思っているような男じゃない、でも、君の望む男になりたかったから、シャーロックを助けたんだ」と告白して、それを越えていましたね。

4-3 The Final Problem(『最後の問題』)

ユーラスの目的は?

ん~~~。シャーロックにもう一度歌の謎解きをしてもらい、自分を救ってほしかった。以上。

子どものときの歌、墓石の謎解きはこれです。

I am lost. Help me, brother.
Save my life before my doom.
I am lost without your love.
Save my soul. seek my room.
(私は迷子 助けて兄さん
 命を救って 破滅する前に
 私は迷子 あなたの愛なくば
 救って私の魂 探して私の部屋)

いや、すっごいセンチメントな歌だね!??(まあ、小さな女の子が作ったわけだから……)

最初、4-2に出てきたセラピストや、バスに乗り合わせて不倫の誘惑をした女性は、ユーラスとは別人で、彼女の信奉者か誰かかと思っていたんですが、同じ役者さんということは、本人なんですよね?(もう一度書くけど、シェリンフォードの警備体制、ザルすぎ!!! 兄、猛省して欲しい)

すごく正直に言うと、最後に自分の部屋でうずくまって泣いているユーラスと、残酷なゲーム中に「だめよ!」とか「銃を拾って」とか高飛車に指示しているユーラスがどうしても繋がらなくて。

別人格じゃ……!??

と、今でも少し思ってる(笑)。

そして、飛行機で一人だけ起きている少女、一度目に見たときは緊張感があったんですが、実はユーラスでした、と分かって二度目を見ると、どうしても……その、バカバカしい感じがするというか。録音された音声ではないようだから、「もう一度、あの女の子と話をさせてあげる」とか言った後に、目を閉じて自分で女の子を演じていたのかな、っていうね。
あそこまで何もかも準備するユーラスなら、本当に飛行機をハイジャックしてテムズ川に突っ込ませようとして欲しかった。尺が足りなかったのか。

「目を閉じると必ず飛行機に乗ってる。途方に暮れて。誰も私に気づかない」。これに対してシャーロックが「高い空で一人ぼっち、何でも分かるのに着陸のしかただけが分からない。僕はただのバカだ。でも地上にいる」、まあ、ここまではいいとして、「あのときはちょっとやり方を間違えただけ」には、

え~~~??!

という気持ちがどうしても湧きおこって。罪もない少年を殺しておいて「やり方を間違えた」か。ジョンのセラピストも、本物は死んで乾燥室に押し込まれてるんでしょ? シェリンフォードでも何人も殺しているし。シャーロック、やっぱりサイコパスなんだな。いや、まあ、とりあえずジョンを救わないといけないし、孤独な妹に、こんなふうに言わなければならないというのは分かるけど。

この後、シャーロックとユーラスがバイオリンで心通わせるような描写があるんだけど、それはそれでアットホームな家族でいいけど、殺された人たちの家族は!?? ホームズ家だけが特別なの!?

気を取り直して、ユーラスの目的に戻ると、4-1のモリアーティ電波ハイジャックは、「シャーロックを国外の死が確実な任務に行かせないため」。4-2でカルヴァートン・スミスの事件を依頼したのは、一言で言えば「シャーロックとジョンに立ち直ってもらうため」。ちなみにスミスのメモは本人からもらった、共通の友人(モリアーティかな?)が引き合わせてくれた、とセラピスト姿のときに言っている。ジョンを誘惑したのは、何だろう? 「シャーロックの親友をもっと知りたかった、あわよくば奪いたかった」から!!?

そして、4-3でシャーロックを島に誘い出して、ついに一緒にゲームを始める(play with me!)。推理のやり方や感情の動きを見たりして、「生体解剖」。
最後の舞台として、焼けたはずのホームズ家の屋敷も再建しておいた(すごい金遣いの荒さ!!!)

たぶん、あの部屋でマイクロフトを撃っていても、同じように次のゲーム(墓石の謎解き)に進み、間に合わなければジョンも死んでいたんだろうね。万が一、ジョンを先に殺していたら、逆だった。
ようするに、シャーロックから親友(ジョン、マイクロフト)と呼べるような人間をすべて奪う試み。

幼少時、シャーロックの親友になれなくて、嫉妬をこじらせて、人を殺してしまった出来事のリバイバル。

あのとき兄のシャーロックは歌の秘密に気づかず自分を救ってくれなかった。それどころか妹の自分を記憶から完全に消去した。長年の恨みつらみとこじれた愛情で、シャーロックに対してちょっかいを出しまくった。というのが、4-3全体の真相だと思います。はぁ、なんてめんどくさい妹なんだ。

結論。

シャーロックがほんと皆に愛されまくるドラマだから、これ。

『SHERLOCK』シーズン4のラストは?

再びシェリンフォードに閉じ込められたユーラス。口をきかず誰ともコミュニケーションを取ろうとしなくなった。母がシャーロックに頼み、バイオリンを持ったシャーロックが度々通う描写がある。ついにバイオリンを手に取って一緒に合奏し始めるユーラス。ガラス越しに、父母とマイクロフトもバイオリンの合奏を聞きに来る。母はマイクロフトの手に手を重ね、ずっと真実を隠されていたことを許したことを伝えようとする。驚いたように母を見るマイクロフト。

ジョンのところにも「Miss me?」というメアリーからのDVDが届く。「うちに来てくれないか」とシャーロックを呼んで、二人で鑑賞会。メアリーはあなたたちがこれからどうなるか分かる、二人をよく知っているから、と言い、「おびえて絶望した人々が最後に逃げ込む場所、ベイカー街の221b」で二人がこれからも仕事を続けることを示唆する。おしまい。

いかにも次のシーズンはなさそうな終わり方だけど、もしあった場合を考えて、感想はまだ続きます!!
SHERLOCK考察感想3(もし、シーズン5があるなら……)

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