シーズン5を作るなら、マイクロフトも人間的に成長させてあげてください、ってことを書いてます。
もくじ
- 『SHERLOCK』考察感想1(マイクロフト推し) シーズン1と2。
- 『SHERLOCK』考察感想2(引き続き、兄弟推し) シーズン3と4。
- 『SHERLOCK』考察感想3(シーズン5があるなら) この記事。
- 何年か前の分析 → シャーロック『ピンク色の研究』シーズン1
以下、ネタバレ!!!!
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シーズン5を作るなら
シーズン4でいかにも終わりのようなラストですが、もしシーズン5を作るなら、まだ使っていない伏線や小道具、いろいろありますよね!
ただし、やればやるほどコナン・ドイルの原作とは離れていってしまいますが。とくにユーラスを描けば描くほど、ね。
・アイリーンの再登場。一度しか出てこないのもったいない。
・ウィギンズ君について。本当にシャーロックの弟子になるの?
・マイクロフトがたまに口を滑らせているいろいろな事柄について。
「1972年の繰り返しはごめん」(ディオゲネスクラブで何かあった?)
「両親のラインダンスの邪魔をした」(これは若い頃のシャーロックの薬物乱用で)
他にもあった気がする……。
・マイクロフト、レディ・スモールウッドと飲みに行ってみたら?
・マイクロフトのマインドパレスが見たい。整然としてそう。小さなシャーロックが住んでる?
・ルディ叔父の思い出。もしくはまだ存命なら、女装して登場して欲しい!
・ユーラスは五分間、人と話すだけで相手の心を再プログラミングできるらしいけど(どうやるんだYO)、じゃあ、ジョンはセラピストとしてしばらく話してたんだから、やばくない!?? もうとっくに深層意識に埋め込まれてるんじゃない? そういうトラップが発現してきたりして。
・だけど、正直、ユーラスはそれほど見たいわけでもない。
・むしろ3-2のアーチ―君がとても可愛かったので、また出てきて欲しい。死体が好きならモリーの弟子になろう!
・犬かわいい。ホームズ家に犬がいなくて残念。ハッカーの人が飼ってるトビーでもいい。
・コードネーム「Langdale, Porlock」も、誰が誰か分かるといいな。
・マグヌセンのアップルドアは本当にあるのでは!??? 4-2を見ると、セラピストのユーラスが変わったコンタクトレンズを外してますよね。情報の盗み読みは、眼鏡じゃなくてレンズだったのかなと思うんですけど。
他にもありそう~~~!! 思い出したら追記します。
4-3は新しい章
シーズン3と4の感想で書きましたが、4-3はいきなり新しい章に入ったような話だと思います。シリーズ全体の中で見たとき、どうしても「浮いた」感じがしてしまう。何しろ、いきなりホームズ家の三人目の子どもですから。
本当はこの後に何話か続いて、ホームズ家の問題を深堀りしないと、話としておさまりがつかなかった気がするんです。ただ、やればやるほど原作から離れていくだろうし、シャーロックとジョンの話ではなくなっていくから、まあ……(ということも考えて、これで終わってもいいように4-3のラストをああしたのかと思いました)。
ただ、前回の感想で、いろいろ書いて(若干ディスって)しまったんですが、4-3があって私は本当に良かった!!!
4-3がなければ、2020年にもなって、こんな感想を書こうなんて思わなかったですから(笑)。
マイクロフトが本当にビッグブラザーで、でも良いビッグブラザー(笑)ってことが分かったから。
このギャップをどう解釈すればいいのか?
ただし、ずっとマイクロフトを見てきて、4-3で強い違和感を感じた部分があるんですけど、いいですか?!
2-1で、死んだと思われたアイリーン・アドラーについて、弟を慰めるため(?)、兄はこんなことを言いました。
“All lives end, all hearts are broken.
Caring is not an advantage, Sherlock.”
(終わらない人生も壊れないハートもない。
大切な相手がいると人は弱くなる。)
4-2でも、メアリーを亡くした傷心のジョンを監視しながら、同じようなことを言ってます。「人はいずれ死ぬ」。これだけ聞くとずいぶん達観しているようにも見えますよね。
だけど、4-3で、ユーラスに閉じ込められて、所長の妻を救うためには所長を殺さなければならない、という状況のとき、マイクロフトが意外なほどナイーブというか、シャーロックが日本語訳で言ってるように「やわ」な面を見せるんですよね。
シャーロックは最初、兄に銃を渡そうとするんだけど、兄はできないと悟る。それでジョンに銃を渡すんだけど、マイクロフトはその瞬間を見るのをすごく嫌がっていて、ついに所長が自殺すると、三人の中でいちばんダメージを受けてる。壁に手をついて「おえっ」と吐きそうな身振りをしている。まあ、普通の人はそうだと思うけど(笑)。あまりにも平然としているシャーロックとジョンがサイコパスとスリルジャンキーなだけだけど(笑)。
だけど、叩き上げのMI6だったら、自分の手を汚すことに、少なくともこの状況だったら、そこまで躊躇はないんじゃないかな? 『MI5』の見過ぎ?
エリートの誇りというか、自分は自ら手を汚すような立場の人間ではないという矜持はあるかもしれないですよね。それは理解できます。だけど、目の前で突然人が痛ましい死に方をしても、少なくとも表面的には、冷静なふりをしているべきじゃない? アイスマンでしょ?
メアリーが目の前で死んだときはそこまで動揺していなかったような気がするんですが。救急車を呼んでいたので(身を翻していたけど、携帯は!?)よく分からないけど。
一方で、自分が死ぬということに関しては、それもシャーロックのためにそうする場合には、ほとんど動揺を見せなませんでした。むしろ潔すぎるくらい。なぜ? どうすれば全員でユーラスのゲームから逃れられるか、本当によーく考えた??? よく考えた結果、シャーロックか自分のどちらかがこの孤島で死ぬしかないなら自分しかない、ってコンマ一秒くらいで決断したんだろうとは思うけど。そうすることは皆、分かってたよ、うん。ただ目の前で見せられると……。
それにしても、このアイスマン的評価と、思いがけず「やわ」な部分のギャップをどう解釈すればいいのだろう?
シーズン5がないとこれはずっと分からないままだなーーー。と思ってしまいました。
ここから仮説を立てると、マイクロフトは本当はシャーロックよりまともで、優しい部分があるのかもしれないね。(いや、明らかにそうじゃん、そうでなきゃ弟にあんな無条件の愛を注げるはずがないじゃん、というツッコミは一旦無視させてください。) シャーロックだって、ファンは誰も「感情がない」なんて思ってないわけだから。まあ、確かにちょっと「人間」や「感情」が苦手な兄弟ではあるけど。
シャーロックのことを「感受性の強い子どもだった」と表現しているけど、自分もそうだったんじゃないかな? シーズン4の最後にシャーロックもやっと!!! それに気づいたわけです。だから、「兄は自分で思ってるほど強くない、本当はやわなんだ」とレストラードに言い、兄を気をつけてやってくれ、と頼みさえした。今までさんざん兄の側から同じことを言われてきたというのに!!! この成長。
壊れたハート
しかし、おやつが好きだったぽっちゃり体型の子ども時代から、情報機関でアイスマンと呼ばれるようになるまでには、何かがあったはずじゃないですか?
普通に考えると、ルディ叔父がマイクロフトを英国政府にスカウトしたんですよね。そして、妹の軟禁の仕事も引き継いだ。マイクロフトが大学生あたりかな、名門校出身ですよね。(その前後のシャーロックはヤク中になって周囲に迷惑かけてたwww)
マイクロフトだけでなく、シャーロックもときどき「壊れたハート(a broken heart)」と言いますよね。
上述の2-1でもそうだし、3-1で兄弟がゲームをしているとき、一瞬、チェスと思いきや、謎の人体を手術する(?)ゲームでマイクロフトが心臓の処置に失敗すると、シャーロックがこんなことをさらっと。
Can’t handle a broken heart. How very telling.
(ひび割れた心は扱いに困るな。)
この後、一瞬だけマイクロフトが見たこともないほど怖い顔でシャーロックを睨んでいる。すぐに表情を切り替えて余裕を見せるけど。ひょっとすると、シャーロックがそう表現するような出来事が、兄弟の過去にはあるんでしょうか。「心が壊れる」ということが? だから How very telling?(含みのある表現だと思う)
クリスマスに飲みすぎたふりをして、マイクロフトは本心を言っています。
“Also … your loss would break my heart.”
(それに…お前を失いたくない(直訳では「おまえを失うと、私のハートが壊れる」)
そりゃ、シャーロックが死んだらそうだろうけど……。
でも、誰かを失うと「心が壊れる」と、あらかじめ予測できるということは。
つまり……ルディ叔父は死んでるな!??(飛躍)
トラウマになるような叔父の死という出来事が過去にあり、それにシャーロックも関わっていたのかは不明だけど(まさかユーラスが絡んでるんじゃないよね)、それから、マイクロフトは冷淡な大人になった。「壊れた心」を扱いかねたので、感情を封印することにして。賢くて能力のある人なので、モリアーティにさえ「氷の男」と評されるくらいには完璧に。
4-2で、レディ・スモールウッドに、
Everybody dies. That’s the one thing human beings can be relied upon to do.
How can it still come as a surprise to people?
(誰でも死ぬ。いずれ死ぬことは人間に定められていることなおに、なぜみんな死に驚く)
「人はいずれ死ぬ」と、何度も繰り返すのは、自分に言い聞かせるためでは。
だけど、レディには「不機嫌な声ね」と見抜かれている。(ちなみにこのシーンの切り替えも笑いました。「埋め合わせはまだよね」「何をすればいいんです」(場面切り替え)ユーラスが「Sex!」)
ということで、女装癖のあるルディ叔父を勝手に殺しちゃったけど(笑)、まだ生きててもいいので、ホームズ家の男三人の若い頃のスピンアウトが見たくなってくるなー!!
(少しだけ清書しました! 仕上げようと思ったんだけど)
ずっと嘘をついてきた人
4-3でマイクロフトはしょっちゅう、”Dr.Watson” と呼んでますよね。「ワトソン先生」と。ずいぶん謙虚になって! ジョンのことなんか金魚としか思ってなかったはずなのに。3-4のときからですよね。
マイクロフトは4-3のラスト10分くらいまで、ずっと嘘をついている。赤ひげが実は人間の子どもで、シャーロックの親友(ジョンと同じ役割)だったことを隠していたわけですね。まぁ、物語の構成上、冒頭でカミングアウトするわけにはいかないのはよく分かりますが……。
その嘘は、彼のいう「思いやり(Caring)」だったのかもしれないけど、相手(シャーロック)を下に見ているということ。真実を受け止める力がない、と勝手に判断しているわけだから。
それにしても繰り返すけど、ずーっと嘘をつき続けて、よくこれまで一人でやってきたよね、孤独なお兄さん。
しかし、あの傘が実は仕込みレイピアで、ピストルにもなるのはちょっと笑った。スパイ道具ww
マイクロフトも成長させてあげて欲しい
シーズン5がもしあったら、言いたいのは、マイクロフトも成長させて欲しいってことです!!
シーズン1と2の感想で、「人間的な成長の余地」と書いたのを思い出して。「ブリリアントだけど何か欠陥、あるいは人間的成長の余地のある主人公のところに、誰かがやってきて、その人間との関わりの中でゆっくりと成長していく」……。
だけど、人間的成長の余地のない人間なんていない。みんなそう。ただ、比較的に短期間に人が変化するときドラマになるだけ。
マイクロフトの人間的な成長の余地とは何か?
一つは……。
こんなこと書くのはファンとしてはつらいけど、自分の「弱さ」を受け入れる、ということかな。
「脆さ」を感じたときというのは、自分の成長にとても大事なときなんだと読んだことがあります。
感情を封印せず、「脆さ」を感じている自分でも大丈夫なんだ、と思えれば、その部分を素早く統合できるのだと。
もう一つは、シャーロックをいつまでも昔のように見ないことです。
今、目の前にいる弟を、曇りのない目で見ること。
シャーロックのマインドパレスにいつもマイクロフトがいるように、マイクロフトの頭の中にも常にシャーロックがいると思うんです。
それは若い頃のシャーロックの姿、3-3の最後に出てきた子どもの姿がそれかもしれない。自分が助けなければならない、常に味方になってやらなければならない、厄介で愛しい弟。
過去のある時点で作り出した弟の姿が、ずーーーっとマイクロフトの頭の中で生きているんだけど、でも、それを、更新しなければいけない。弟にはもう親友がいて、信頼できる人たちもいて、一人じゃないんだってことを。マイクロフトも、もちろん表層的な意識では分かってるだろうけど、本当に、マインドパレスの中を書き換えるくらいに、よく分からないと。
もし、シーズン 5以降があって、マイクロフトが人間的に成長できるなら、そういうことが描かれるといいなー、と思います。
そして、「もし、幸運にも(1-1のレストラードの台詞)」、彼が自分自身を変えることができたなら、そのときは、賢さだけで判断して「金魚」と思ってきた一般の人たちの中に、何か大事なものを見出すことができるようになるかもしれないね。
レディ・スモールウッドだけじゃない、レストラードと飲みに行くことだって、本当にあり得るかも?!
あと、ようつべのコメント欄にあったけど、シャーロックがマイクロフトをハグするシーンも見てみたいです!(笑) イギリス人らしい憎まれ口を叩いてくれていいからさ!
マイクロフトは基本、弟に呼びかけるとき「brother mine」という言い方をするので(「弟よ」「兄よ」みたいな意味)、何気なく検索してみたら、これが出てきて爆笑、じゃなかった、感動しました。世界のファンの皆さんすばらしい、ありがとう……コメント欄がまた愛にあふれている……。
こんなところまで読んで下さった方、本当にありがとうございました。
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