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化石燃料はすごい!

化石燃料はすごい!というだけの話

化石燃料はすごい! というだけの話です。

100年経っても生活水準がそんなに変わらない

マンガや小説を読んでいて、50年、100年と時間が経った場面で、世界の生活水準があまり変わらないのを、不思議に思ったことありませんか? 私はあります。もちろんいいんです。RPG的世界観の話が突然SFになったらいやですから。

ただ、今の世界は100年ですごく変わりますよね。今から100年遡ると1920年ごろ。大正時代です。それなりに近代化していますが、テレビ、洗濯機、冷蔵庫、ありません。電気炊飯器もないです。竈(かまど)に火をつけて(都市部はガスコンロ)お釜でご飯を炊いてました。本当に。今調べたら、竈は五世紀くらいからあるそうです。そこからずっと使ってきたなんて、逆にすごいと思うんですよね。そんなに長い間、世界があまり変わらないということが。

18世紀の動力革命(産業革命)が今の世界をつくった

誰もが学校で習った「動力革命(産業革命)」が、経済の生産力をすさまじいまでに高め、今の世界を作り出しました。そのすさまじさとは。
年間の①一人あたりの所得と②一人当たりのエネルギー消費量を比較してみると、両者の驚くばかりの類似性、そして1800年ごろを境とした明らかに質の違う伸び方(非連続性)が見てとれます。

下記の画像は、この新書のP.55~P.58の4ページ「だけ」をまとめたものです。これはほんの、ほんのさわりで、この本全体で言いたいこととは別です(笑)「閉じていく」は、アメリカと中国の貿易摩擦を予見しているようで面白い(本書は2017年発売)。

化石燃料はすごい!インフォグラフィック

江戸時代以前は、まったく別の世界

化石燃料が発見される前は、エネルギーといえば、人や馬や牛が畑を耕したり(筋肉エネルギー)、木を燃やすしかありませんでした。よくある誤解に、「昔は自然が豊かだったんでしょ?」というものがあります。とんでもない。化石燃料以前の世界では、森を収奪するしか生きる道はなかったんですよ。山はハゲ山で、土砂災害も頻発してました。

『森林飽和』を読んで、私はこのことを腹に落ちて理解しました。藤沢周平が好きだったので、江戸時代の生活に親近感を感じていたんですが、そうではないんだ、と。われわれのご先祖は、今とはまったく違う世界に住んでいた。化石燃料以前の世界に。読んだ後、丸一日くらい、衝撃でぼんやりしました。今も覚えているのは、そのとき池袋にいたのですが、私はいま、ご先祖たちと質的に違う世界を歩いているんだ、と、ビルの間を歩きながら、胸に迫って感じたことです。
逆に言えば、化石燃料後の世界は、変化のスピードがすごいということです。200年経つとiPhoneが登場してしまうのです(笑)。

自分の読書メーターの埋め込み方が分からないので、スクショを貼っちゃう。

化石燃料はすごい!

ということで、結論は何もありません。化石燃料はすごい(笑)。もちろん、動力革命(産業革命)によって人口が増加し、環境破壊が起こり、その結果、地球全体でさまざまな問題に直面しているわけです。それでも、私たちがこうして余剰の時間で物を考えたり、iPadで絵を描いたり、インフォグラフィックを作ったりできるのは、これすべて、化石燃料が作り出した世界のおかげ。今、実はすごい時代に生きていることを、皆、もっと知ってほしい(笑)。

化石燃料は何億年もの時間をかけて地球が作り出したものだから、地球からの贈り物ですよね。人類は早晩それを使い尽くす。その前に、もっと科学を発展させなければならないし、次のエネルギー源を発見しなければならない。いろんなことを言う人がいますが、それは可能だと思います。不可能だと言うのは「今の」科学の水準、「今の」世界のパラダイムで考えているだけだと思うので。

おまけ 動力革命と民主主義

化石燃料はすごい!おまけ

かつての世界は、生産力の低さから、上位数%の上流階級の欲望しか満たすことはできませんでした。今は、王侯貴族しか食べられなかったような珍味を誰もが食べられる。誰もが労働者であり、同時に欲望を追及する消費者になったことで、資本主義が発展。多くの国民が豊かな生活を享受できるほど生産力が高まり、民主国家を維持していくことが可能になりました。

最近読んでいた十二国記の世界では、五百年、六百年と国を治める王たちが出てくるのですが、そう! 彼らはいつまで王でいなければならないのか? 500年経っても、もし化石燃料以前の世界と同じ、年0.014%の増加率だとすると、100→107しか増えないのです。(100×1.00014×1.00014…を500回繰り返す。ExcelのPOWER()関数を使った計算)

ただ、十二国記の世界では、王がいる間は天災が起こらず、他国の侵略もないので、軍隊で富を消耗することはない。とはいえ内戦が多いので軍隊は強力に存在しますが……。そこで、大盤振る舞いして、前述の増加率を2倍の0.028%とすると、500年で100→115に増加する。感覚としてはこれくらいでしょうか。高い建物ができて、窓にガラスが入っている。もう少し豊かかもしれませんが。

なお、私たちの世界で1800年から100年後、大体100→245くらいまで増加したときには、先進国では民主主義が採用され始めている。年0.028%でいつ245になるかというと……3200年くらい経ったときです。年0.05%だとすると1800年まで短縮できますが……。ただ、これも完全な机上の空論で、エネルギー源が植物メインだとすると、成長スピードの限界があるので、そこまで行くことはないと思われます(世界の物理法則自体が違うので、別の動力源が見つかる可能性はある)。その場合は、やはり王がいるシステムをずっと続けなければならないでしょう。大体、あの神話的な世界に、何千年後であれiPhoneがバァーンと登場したりしたら、世界観ぶちこわしですから(笑)、もちろんそれでいいのです。おかしなこと考えて本当にすみません。延王や陽子にはずっとがんばってもらいましょう!!

とりあえず表紙を貼りたかったw