英語版『マハーバーラタ』を読みつつ、訳文メモを残していきます。
まずは、カルナの章でカルナが死ぬところから。
そもそも上村勝彦原典訳が、カルナの章の途中で終わってしまったので、他の要約版でせいぜい数行でしか書かれていない部分について「ここって、長い訳では、どうなってるのかな?」と思ったのが始まりです。
原典訳は、「プーナ批判版」を底本にしているとのこと(第一巻より)。
また参照した英訳の一つとして、The Mahabharata, 12 Vols., Translated by K. M. Ganguli が挙げられており、「プーナ批判版を底本にしたものではないが、なかなかよい訳で」と。まったく同じものではないかもしれないけど、K. M. Ganguli 訳のテキストは、グーテンベルクに上がっているようなので、詳細が知りたい部分だけ読んでみることにしました。
といっても、Google翻訳にぶち込んで、意味不明の部分だけ英語にあたって理解を試みる、という程度のものです。いろいろ間違っていると思います。日本語としてのスムーズさを優先して、ざっくり省略したり意訳した箇所もあります。あまりにもよく分からない部分は「?」で。ご笑覧。
原文はこちらです!
http://www.gutenberg.org/ebooks/15476
Karna-parva(カルナの章)
カルナの章(Book 8) は、この訳では96章まであるようで、90章の最後で車輪が地面にめりこみ、91章でアルジュナに首を落とされて亡くなる、という感じでした。
90(最後だけ)
その時、カルナの死の時が来たとき、運命は目に見えないように近づき、ブラフマンの呪いをほのめかし、彼の死が近くにあることをカルナに知らせようとして言った。「大地はあなたの車輪を貪っている!」確かに、カルナの死の時が来たとき、偉大なバールガヴァが彼に伝えたブラフマストラは、彼の記憶から逃げた(思い出せなくなった)。
※この物語全体に登場する神々の武器をアストラ(神的武器)といい、さまざまな種類や効果がある。聖なるマントラ(呪句)を唱えて呼び出す。ブラフマストラは、神の力を武器などに宿らせるためによく使われている。
そして、大地はまた彼の戦車の左車輪を貪り始めた(地面にめり込んだ)。それからブラフマンの第一の呪いの結果として、カルナの戦車は地面の奥深くに沈んで、その場所で花咲く神聖な木のように固定されて、車輪が回り始めた。彼の戦車がブラフマンの呪いからそうし始めたとき、彼がラーマから得た高貴な武器がもはや彼の中の光を通して輝いていなかったとき、そして、彼の恐ろしい蛇の口のような矢がアルジュナによって切断されたとき、カルナは憂鬱でいっぱいになった。これらの災難に耐えることができなかったので、彼は腕を振って正義を呪い始めた。
※カルナは二つの呪いを受けている。一つは、賢者バールガヴァに身分を偽ったのがバレたときの、「一番必要とするときに、マントラの文句を思い出せなくなるだろう」というもの。もう一つは、別のブラフマン(バラモン)を怒らせたときの「いつか戦場で身を守れずにいるとき、戦車の車輪が泥に埋まる」というもの。
「正義に精通している者は、正義は常に、正義である人々を守ると言っている。わたし自身について言えば、その能力と知識を最大限に正義の行いのために発揮するよう、努力している。しかし、正義はそれに献身する者を守る代わりに、今わたしを滅ぼしにかかっている。したがって正義は必ずしもその崇拝者をいつも守るとは限らないと思う。」
※後半、原文では ourselves や us だが、カルナ自身を主語に。
これらの言葉を言っている間に、彼はアルジュナの矢の打撃に非常に動揺した。 彼の馬と御者はその位置から追放された。 彼のまさに生命がかかっており、彼は自分がしたことに関して無関心になり、そして、戦いの場における正義を繰り返し非難した。彼はそれから三本の矢でクリシュナの腕を、七本の矢でアルジュナを射た。アルジュナは七本、そして十本の矢を、完璧にまっすぐな軌跡で、猛烈な勢いで放った。輝く火のように、そしてインドラ神の雷のように。これらの矢はカルナを突き刺し、その体を貫通して地面に刺さった。衝撃に震えながら、カルナは彼の最大限の力を示して行動した。呼び出したブラフマストラの力強い効果で自分自身を安定させながら。
※カルナの戦車の御者はどうなったの? 逃げた?
ブラフマストラを見て、アルジュナも適切なマントラでアインドラ(Aindra)の武器を呼び出した。ガーンディーバは、その弦も矢もマントラによって奮い立ち、目覚しい働きでプランダラ(Purandara)の急流で降り注ぐシャワーのように敵に矢を注いだ。これらの矢は凄まじいエネルギーと力を付与され、それはアルジュナの戦車から発散されていて、カルナの戦車の近くにいるのが見られた。強力な戦士のカルナは、彼の正面に飛んでくるすべての矢をくじき、邪魔した。武器がこのように破壊されたのを見て、ヴリシュニの英雄クリシュナはアルジュナに言った、 「アルジュナ、高い(強い)武器を撃て! カルナはきみの矢を撃ち落とす。」アルジュナは適切なマントラを唱え、ブラフマストラを弓の弦に据え付け、たくさんの矢ですべての方角を覆い、カルナを打った。カルナは、研ぎ澄まされた矢に強大なエネルギーを与え、アルジュナの弓の弦を切り落とした。
(アルジュナがすぐに次の弦を張ったので、)カルナは同じように、二番目、三番目、次に四番目、そして五番目の弓の弦を切った。 六番目の弦もカルナによって(切られ)、そして七番目、八番目、九番目、十番目、そして十一番目も切り落とされた。何百もの矢で何百もの射撃をすることができるアルジュナの弓は、百本の弦を持っていたことをカルナは知らなかった。
別の弦を弓に結び、多くの矢を放って、アルジュナは燃える口の蛇に似た矢でカルナを覆った。アルジュナが切られた弦をすばやく貼り直すので、カルナはそれがいつ切れていつ貼り直されたのか分からないほどだった。その離れ業は彼にとって非常に素晴らしく思えた。カルナはアルジュナのそれを自分の武器で邪魔した。彼自身、卓越した才能を示し、彼はその時アルジュナより優位に立っているように見えた。カルナの武器に苦しんでいるアルジュナを見たクリシュナは、アルジュナに言った。「カルナに近づいて、もっと強力な武器で彼を攻撃しろ」。
それからアルジュナは怒りに満ち、別の武器をマントラによって奮い立たせた。火のように見え、蛇の毒に似た、天の武器に。それはアダマント(ダイヤモンドとも言われた伝説上の硬い石)の精髄ように固く、ラウドラ(Raudra)の武器と結びついて、彼の敵を撃つことを望んでいた。
その時、王よ、大地はカルナの戦車の車輪の一つを飲み込んだ。すぐに戦車から降りて、カルナは彼の二本の腕で沈み込んだ車輪をつかみ、苦労してそれを持ち上げるように努力した。カルナの力で引き上げられ、彼の車輪を飲み込んでいた大地は、彼女の七つの島と丘と水と森で、しかし、指の幅四本分の高さまで上がった。彼の車輪が(再び)飲み込まれたのを見て、カルナは怒りから涙を流し、怒りでいっぱいになって、アルジュナを見て言った。 「アルジュナ、アルジュナ、少し待て、つまり、この沈没した車輪を持ち上げるまで」
※それぞれの別名ですが、「御者の子、Radhaの子、Vrisha=カルナ」「パルタ、ダナンジャヤ=アルジュナ」「ヴァースデーヴァ=クリシュナ」で統一してます。
「見ろ、アルジュナ、私の戦車の左の車輪は災難によって地面に飲み込まれた。目的を放棄しろ。臆病者だけがこのように窮地に陥っている者を攻撃し、殺そうとする。
正義の習慣を守っている勇敢な戦士は、こうした人々には決して武器を撃つことはないものだ。乱れた髪の者、戦闘から顔をそむけた者、ブラフマン、または彼の手の内に加わった者、降伏した者、武器を置いた者、矢が消耗した者、鎧が外れた者、または武器が落ちたり壊れたりした者には!
おまえは世界で最も勇敢な男だろうが。それにまた正義の行いでも。パーンドゥの子よ!
おまえは戦いのルールに精通している。だから少し待て、アルジュナ、私が地面から車輪を解放するまで。おまえは自分の戦車に立っていて、私は地面に弱々しく立っている。今、私を殺してはいけないのだ。クリシュナもおまえも、ほんのわずかな脅威も私に抱いていないだろうが。おまえはクシャトリヤの法の下に生まれた。高貴な血筋を伝える者だ。正義の教えを思い出して、少し時間をくれ、パーンドゥの子よ!」
窮地に陥ったカルナが、アルジュナをほめたたえ、正義に訴えております。
次は、クリシュナさんがよくしゃべる回。
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